「3歳になったのに、まだひらがなが読めない」
「そろそろ書く練習を始めたほうがいい?」
「文字を教えようとしても嫌がってしまう」
周りにひらがなを読める子がいると、心配になることもあるのではないでしょうか。
結論からいうと、3歳でひらがなが読めなくても、すぐに遅れていると判断する必要はありません。
文字に興味を持つ時期や、読めるようになる順番には個人差があります。最初から50音すべてを覚えたり、正しく書いたりすることを目標にしなくても大丈夫です。
まずは、自分の名前や好きな物の名前など、子どもにとって意味のある一文字から始めてみましょう。
この記事では、3歳の子どもが遊びや生活の中でひらがなに親しむ方法を8つ紹介します。
3歳でひらがなが読めなくても大丈夫?
3歳になったからといって、すぐに50音を読める必要はありません。
文字よりも、
- 体を動かすことが好き
- お絵描きが好き
- 乗り物や動物に興味がある
- 数字が気になる
- 絵本の絵を見ることが好き
という子もいます。
文部科学省の「幼稚園教育要領解説」でも、幼児の文字に対する興味には個人差があるため、生活から切り離して一律に覚えさせるのではなく、本人の興味に合わせて、遊びの中で文字を読んだり書いたりする楽しさを経験することが大切だと説明されています。
そのため、3歳では「何文字読めるか」だけで判断せず、子どもが文字に気づいた瞬間を利用してみましょう。
例えば、看板を指さして「これ何?」と聞いたときに、
「これは『あ』だよ」
「○○ちゃんの名前にも入っているね」
と答えるだけでも、文字に触れるきっかけになります。
3歳のひらがなは何から始める?
ひらがなを教えるときは、五十音表の「あ」から順番に始めなければならないわけではありません。
次のような順番で、本人が興味を示すところから進めてみましょう。
- 文字があることに気づく
- 文字と音を一緒に聞く
- 同じ文字を見つける
- 知っている文字を読んでみる
- 書きたがったら、まねしてみる
これは全員が同じ順番で進むという意味ではなく、家庭で取り入れる際の目安です。
読むことに興味がない段階で、何度も書き取りをさせる必要はありません。
ひらがな遊び8選の比較表
準備の負担は、必要な道具の数をもとにした目安です。実際の取り組みやすさは、子どもの興味によって変わります。
| ひらがな遊び | 主に使う物 | 準備 | 始めやすさ |
|---|---|---|---|
| 自分の名前を見る | 紙・ペン | 少ない | 始めやすい |
| 好きな物の名前を見る | 紙・絵 | 少ない | 始めやすい |
| 絵本で文字探し | 絵本 | 少ない | 始めやすい |
| 家の中で文字探し | パッケージなど | 少ない | 始めやすい |
| 同じ文字のカード探し | 手作りカード | 普通 | 普通 |
| 指で文字をなぞる | 紙・ペン | 少ない | 普通 |
| お絵描きに文字を加える | 紙・クレヨン | 少ない | 始めやすい |
| 言葉の音遊び | 道具なし | 少ない | 興味による |
最初に試すなら、「自分の名前」「好きな物」「絵本」のいずれかがおすすめです。
1.自分の名前の文字から始める
最初に使いやすいのが、子ども自身の名前です。
例えば「はる」という名前なら、紙に大きく、
「は る」
と書いて見せます。
そして、
「これは、はるちゃんの『は』だよ」
と最初の一文字を伝えます。
一度に名前を全部覚えさせる必要はありません。まずは名前の最初の一文字を、服のタグ、持ち物、絵本などから探してみましょう。
声かけの例
「はるちゃんの『は』があったね」
「こっちの『は』も同じ形だね」
「名前の最初は何だったかな?」
答えられないときは、大人がそのまま答えて構いません。
2.好きな物の名前を使う
動物、食べ物、乗り物など、子どもが好きな物の名前を使います。
例えば車が好きなら、車の絵の横に、
「くるま」
と書きます。
全部を読ませるのではなく、
「くるまの最初は『く』だね」
と一文字だけ見せましょう。
使いやすい言葉の例
- ねこ
- いぬ
- くるま
- でんしゃ
- りんご
- いちご
- ぱん
好きなキャラクター名を使う場合は、カタカナやアルファベットが含まれていることがあります。最初から表記を全部説明せず、分かりやすいひらがながあれば、そこだけ取り上げてみましょう。
3.絵本の中から文字を探す
普段読んでいる絵本も、ひらがな遊びに使えます。
子どもが知っている一文字を決めて、
「『あ』はどこにあるかな?」
と一緒に探してみましょう。
最初は大人が見つけて、
「ここに『あ』があったよ」
と指さすだけでも構いません。
注意したいこと
絵本を読むたびに文字探しをすると、物語を楽しめなくなることがあります。
普通に読み聞かせる日と、文字探しをする日を分けるなど、子どもの様子に合わせましょう。
文字探しを嫌がったら、その日は物語を楽しむだけで十分です。
4.家の中でひらがなを探す
文字は、家の中のさまざまな場所にあります。
例えば、
- お菓子や食品のパッケージ
- おもちゃの箱
- カレンダー
- 絵本
- チラシ
- 家族の持ち物
などです。
「名前と同じ『ゆ』を探そう」
というように、知っている一文字を探します。
見つけられないときは、
「この箱にあるよ」
「一緒に見てみよう」
とヒントを出しましょう。
読めるかを確認するテストではなく、宝探しのように楽しむことがポイントです。
5.同じ文字のカードを探す
紙を使って、簡単なひらがなカードを作ります。
遊び方
- 同じ文字のカードを2枚ずつ作る
- 机にカードを並べる
- 大人が一枚を見せる
- 同じ文字を探してもらう
最初は、子どもの名前に入っている文字など、少ない種類から始めましょう。
文字の名前を覚えていなくても、同じ形を見つけられたら遊びは成立します。
声かけの例
「これと同じ形はどれかな?」
「同じ『あ』が見つかったね」
「今度は『い』を探してみよう」
カードは口に入らない大きさで作り、遊んだあとは片付けてください。
6.指で大きな文字をなぞる
子どもが文字の形に興味を持ったら、大きく書いた文字を指でなぞります。
紙に名前の最初の文字を書き、
「指で道を歩いてみよう」
と声をかけてみましょう。
鉛筆を正しく持ったり、きれいに書いたりすることが目的ではありません。
文字の形を見ながら、指を動かす遊びとして取り入れます。
何度も書き順を直すより、
「下まで来たね」
「曲がるところがあったね」
と、子どもの動きを言葉にしてみましょう。
7.お絵描きにひらがなを加える
文字だけの練習を嫌がる場合は、お絵描きと組み合わせます。
例えば、子どもがりんごを描いたら、大人が横に、
「りんご」
と書きます。
そして、
「りんごの『り』だね」
と見せましょう。
子どもが「書きたい」と言ったら、同じ紙にまねして書いてもらいます。
線や丸のような形になっても、すぐに直す必要はありません。
「書いてみたんだね」
「りんごの隣に文字ができたね」
と、書こうとしたことを受け止めましょう。
8.言葉の音で遊ぶ
文字を書く前に、言葉の音を楽しむ方法もあります。
同じ音から始まる言葉探し
「『あ』から始まる物は何かな?」
と一緒に考えます。
答えが出なければ、
「あり」
「あめ」
「あか」
など、大人が例を出して構いません。
簡単なしりとり
「りんご、の最後は『ご』だね」
「『ご』から始まる物はあるかな?」
と、言葉の音をつなげます。
3歳では、しりとりのルールを理解するのが難しいこともあります。正しく続けることより、最初や最後の音に気づく遊びとして楽しみましょう。
3歳に書く練習は必要?
3歳で、ひらがなを繰り返し書く練習が必ず必要というわけではありません。
子どもが、
- 自分の名前を書きたがる
- 大人が書く様子をまねする
- 「これ、どうやって書くの?」と聞く
- お絵描きの中に文字らしい形を描く
といった姿を見せたら、紙や太めのクレヨンを用意してみましょう。
ただし、書きたがったからといって、最初からマス目に収めたり、書き順を何度も直したりする必要はありません。
大人が薄く書いた文字をなぞる。
大きな紙に自由に書く。
名前の最初の一文字だけ書く。
このような取り組みやすい方法から始めます。
「読む練習が終わったら書く」という明確な決まりがあるわけではありません。本人が興味を示した活動を選びましょう。
ひらがなを間違えたときの伝え方
子どもが文字を間違えたときに、
「違うよ」
「さっき教えたでしょ」
と強く否定すると、文字遊びを嫌がる可能性があります。
例えば「め」を「ぬ」と答えた場合は、
「似ているね。こっちは『め』だよ」
と、正しい読み方を自然に伝えます。
また、文字を左右逆に書いたり、形が崩れたりしても、3歳では完成度を求めすぎないようにしましょう。
書いた文字を毎回採点するのではなく、
「自分で書いてみたね」
「大きく書けたね」
と、具体的に取り組んだ部分を伝えてみてください。
ひらがなに興味を示さないときは?
ひらがなカードや絵本を見せても、興味を示さないことがあります。
その場合は、無理に続ける必要はありません。
好きな遊びと組み合わせる
車が好きなら、駐車場に「くるま」と書く。
お店屋さんごっこが好きなら、紙に「ぱん」「りんご」と書く。
お絵描きが好きなら、描いた物の名前を大人が書く。
このように、子どもの遊びに文字を少しだけ加えてみましょう。
大人が読んで見せるだけでもよい
子どもに答えさせず、大人が看板や絵本の文字を読むだけでも、文字に触れる機会になります。
「これは何て読む?」と何度も質問する必要はありません。
いったん別の遊びにする
興味がなければ、体を動かす遊びや工作など、本人が楽しめる活動へ切り替えます。
しばらくして子どもから「何て書いてあるの?」と聞いてきたときに、改めて文字を伝えましょう。
3歳のひらがなで避けたい教え方
一度にたくさん覚えさせる
最初から50音すべてを見せると、子どもが何に注目すればよいか分からなくなる場合があります。
まずは名前の最初など、本人に関係のある一文字から始めましょう。
毎回テストする
「これは何?」
「昨日教えた文字は?」
と繰り返し確認すると、文字を見ることがテストのようになる場合があります。
答えられないときは、大人が答えを伝えて次へ進みましょう。
ほかの子と比べる
文字に興味を持つ時期には個人差があります。
「同じ年の子は読める」と比べるのではなく、以前より文字を見るようになった、名前の最初を見つけたなど、その子自身の変化を見ていきましょう。
長く続けさせる
本人が別の遊びへ移ったら、そこで終わって構いません。
取り組む時間を決めて続けさせるより、生活の中で文字に気づいたときに短く触れる方法が取り入れやすいでしょう。
ひらがな以外の様子も心配な場合は?
「ひらがなが読めない」という一点だけで、発達について判断することはできません。
ただし、文字以外にも、
- 日常の言葉のやり取りが気になる
- 話している言葉を聞き取りにくい様子がある
- 名前を呼んでも反応しにくい
- 園から言葉やコミュニケーションについて指摘された
- 保護者の心配が長く続いている
といったことがある場合は、ひらがなの練習を増やす前に、園の先生、自治体の子育て相談窓口、かかりつけの小児科などへ相談する方法があります。
相談したからといって、必ず問題があるという意味ではありません。家庭だけで判断せず、普段の様子を伝えて一緒に考えてもらいましょう。
よくある質問
3歳は何文字くらい読めればよいですか?
3歳で読むべき文字数を一律に決めることはできません。
文字への興味や経験には個人差があります。読める文字数を増やすことだけでなく、自分の名前に気づく、文字について質問するなどの姿も見てみましょう。
「あいうえお」の順番で教えたほうがよいですか?
必ず「あ」から順番に教える必要はありません。
自分の名前や好きな物に使われている文字など、本人にとって意味のある文字から始める方法があります。
五十音表は貼ったほうがよいですか?
貼くだけで覚えられるとは限りませんが、子どもが興味を示すなら活用できます。
大人が毎日暗唱させるのではなく、「名前の文字はどこかな?」と一緒に探す程度から始めましょう。
ひらがな教材を買う必要はありますか?
必ずしも必要ではありません。
紙、クレヨン、絵本、食品のパッケージなどでも文字遊びはできます。市販教材を選ぶ場合は、対象年齢だけでなく、子どもが好きな絵や遊び方が含まれているかも確認しましょう。
ひらがなより数字に興味を持っています
数字から始めても問題ありません。
子どもが興味を持っていることを優先し、数字に親しみながら、生活の中で文字にも触れていきましょう。
数字を使った遊びは、3歳の数字の覚え方で紹介しています。
まとめ|3歳のひらがなは身近な一文字から始めよう
今回紹介したひらがな遊びは、次の8つです。
- 自分の名前の文字を見る
- 好きな物の名前を見る
- 絵本から文字を探す
- 家の中から文字を探す
- 同じ文字のカードを探す
- 指で文字をなぞる
- お絵描きに文字を加える
- 言葉の音で遊ぶ
3歳でひらがなが読めなくても、すぐに焦る必要はありません。
最初から50音を覚えさせるのではなく、自分の名前や好きな物に使われている一文字から始めてみましょう。
子どもが興味を示したら少し広げ、嫌がったらいったんやめることも大切です。
「何文字覚えたか」だけではなく、
「自分の名前を見つけた」
「文字について聞いてきた」
「書くまねをしていた」
といった姿も、文字に関心を持ち始めたサインとして見守ってみてください。

