「早く着替えて!」
「もう家を出る時間だよ!」
「遊んでいないで準備して!」
毎朝、このような言葉を繰り返していませんか?
保育園や幼稚園、仕事の時間が決まっている朝は、大人もゆっくり待っていられません。
しかし、3歳の朝の支度が遅い理由は、本人のやる気だけとは限りません。
「準備して」と言われても何をすればよいか分からない。
着替えの途中でおもちゃが目に入る。
自分でやりたいけれどうまくできない。
眠気が残っている。
このような理由も考えられます。
この記事では、3歳の朝の支度が遅いときに試したい7つの工夫と、遅刻しそうな朝の対応を紹介します。
- 3歳の朝の支度が遅くなる主な理由
- 3歳に朝の支度を全部任せなくてもよい
- 3歳の朝の支度を進める7つの工夫
- 1.朝にすることの順番を決める
- 2.「早くして」ではなく一つだけ伝える
- 3.前日の夜に準備する
- 4.二つの選択肢から選んでもらう
- 5.必要な物を子どもが取れる場所へ置く
- 6.絵や写真のお支度ボードを使う
- 7.できた行動を具体的に伝える
- 準備中に遊び始める場合は?
- 「自分でやる」と言って進まない場合は?
- 朝ごはんが進まないときは?
- 毎朝起きられない場合は睡眠も確認する
- 遅刻しそうな朝はどうする?
- 「早くして」と言ってはいけない?
- いろいろ試しても毎朝間に合わない場合は?
- よくある質問
- 今日から始めるならこの3つ
- まとめ|3歳の朝の支度は速さより分かりやすい仕組みを作ろう
- 参考資料
3歳の朝の支度が遅くなる主な理由
朝の様子から、考えられる理由と対応を確認してみましょう。
| 朝の様子 | 考えられる理由 | 試したい対応 |
|---|---|---|
| 何も始めない | 何をすればよいか分からない | 一つだけ具体的に伝える |
| 途中で遊び始める | おもちゃに注意が向く | 支度する場所からおもちゃを離す |
| 着替えを嫌がる | 服が嫌、自分で選びたい | 二つから選んでもらう |
| 「自分で」と怒る | 手伝われたくない | 本人と大人の担当を分ける |
| ぼんやりしている | 眠気や体調の影響 | 睡眠や起床時の様子を確認する |
| 毎朝順番が違う | 次にすることが分からない | 基本の順番を決める |
| 必要な物を探している | 置き場所が一定でない | 定位置を決める |
原因を一つに決めつける必要はありません。
同じ子でも、眠い日、自分でやりたい日、遊びたい日によって理由は変わります。
3歳に朝の支度を全部任せなくてもよい
朝の支度には、たくさんの行動が含まれています。
- 起きる
- トイレへ行く
- 着替える
- 朝ごはんを食べる
- 歯を磨く
- 顔を拭く
- 靴下や靴を履く
- 荷物を持つ
大人には日常的な行動でも、3歳がすべてを一人で順番どおりに進めるのは難しい場合があります。
文部科学省の幼稚園教育要領では、生活に必要な活動を自分ですることに加え、生活習慣については家庭での経験に配慮しながら、次第に見通しをもって行動できるようにすることが示されています。
最初から完全な自立を求めるのではなく、子どもができる部分を任せ、難しい部分は大人が手伝いましょう。
3歳の朝の支度を進める7つの工夫
1.朝にすることの順番を決める
毎朝の基本的な順番を決めます。
例えば、
- 起きる
- トイレへ行く
- 着替える
- 朝ごはんを食べる
- 歯を磨く
- 靴を履く
という流れです。
家庭によって生活の状況は違うため、この順番に合わせる必要はありません。
大切なのは、
「朝ごはんが終わったら歯磨き」
「着替えたら朝ごはん」
というように、子どもが次の行動を予想しやすくすることです。
休日や体調の悪い日は、普段と違う順番になっても構いません。
2.「早くして」ではなく一つだけ伝える
「早く準備して」では、具体的に何をするのか分かりにくい場合があります。
今してほしい行動を一つだけ伝えましょう。
声かけの例
「まずパジャマを脱ごう」
「シャツに腕を入れてね」
「次は靴下を持ってきて」
「歯ブラシを取ろう」
一つ終わったら、次の行動を伝えます。
「着替えて、朝ごはんを食べて、歯を磨いて」
と一度に伝えるより、取り組む内容が分かりやすくなります。
3.前日の夜に準備する
朝の支度を速くするだけでなく、「朝にすること自体を減らす」という方法があります。
前夜にできること
- 翌日に着る服を決める
- 靴下とハンカチを用意する
- 通園バッグの中身を確認する
- 提出物をバッグへ入れる
- 水筒など必要な物を確認する
- 玄関へ持っていく物をまとめる
子どもが服を選びたがる場合は、前夜に候補を見せて選んでもらいましょう。
朝になって気持ちが変わることもありますが、毎朝すべてを最初から探すより、候補が決まっているほうが進めやすくなります。
4.二つの選択肢から選んでもらう
大人が決めた物を嫌がるときは、選択肢を用意します。
声かけの例
「青いシャツと白いシャツ、どちらにする?」
「先に着替える?トイレへ行く?」
「自分で靴下を履く?一緒に履く?」
選択肢が多すぎると、決めることに時間がかかる場合があります。
朝は大人が可能な候補を二つほど用意し、その中から選んでもらいましょう。
どちらも嫌だと言われた場合は、
「今日は寒いから、この二つから選ぼう」
と、選択できる範囲を短く伝えます。
5.必要な物を子どもが取れる場所へ置く
朝に使う物の場所が分からなかったり、手が届かなかったりすると、支度が途中で止まります。
定位置を決めたい物
- 着替え
- 靴下
- ハンカチ
- ティッシュ
- 通園バッグ
- 帽子
- 上着
- 靴
子どもに任せる物は、本人が取り出しやすい高さへ置きます。
引き出しが重い、ふたが固い、ほかの物に埋もれている場合は、収納方法も見直しましょう。
すべてを子どもの手が届く場所へ移す必要はありません。安全上、大人が管理する物は、必要なときに大人が渡します。
6.絵や写真のお支度ボードを使う
何度も「次は着替え」「次は歯磨き」と伝えるのが大変な場合は、お支度ボードを使う方法があります。
市販品を買わなくても、紙に朝の流れを書くだけで作れます。
お支度ボードの例
- きがえる
- あさごはん
- はみがき
- といれ
- くつをはく
- かばんをもつ
3歳では文字だけで理解するのが難しい場合があるため、簡単な絵や実際の写真を付けます。
終わった項目には、印を付けたり、カードを裏返したりします。
文部科学省の幼稚園教育要領解説でも、幼児がその日に必要なことを理解できるよう、視覚的に提示する工夫が挙げられています。
ただし、項目を増やしすぎると確認が大変になります。家庭で特に止まりやすい行動を中心に、必要な項目だけ載せましょう。
7.できた行動を具体的に伝える
遅れている部分ばかり見ていると、
「まだ着替えていない」
「また遊んでいる」
という言葉が増えてしまいます。
一つ終わったときには、できた行動も具体的に伝えましょう。
声かけの例
「自分でパジャマを脱げたね」
「靴下を持ってこられたね」
「朝ごはんの食器を運んでくれたね」
「歯磨きまで終わったね」
「えらい」「すごい」だけでなく、何ができたのかを短く伝えます。
そのあと、
「次は靴を履こう」
と次の行動につなげましょう。
準備中に遊び始める場合は?
着替えの途中でおもちゃが目に入り、遊び始めることがあります。
その場合は、
「遊ばないで」
と繰り返すだけでなく、順番を伝えます。
声かけの例
「シャツを着たら、車を走らせよう」
「歯磨きが終わったら、この絵本を見よう」
「今は着替え。おもちゃはここで待っていてもらおう」
可能なら、着替える場所からおもちゃを見えにくくします。
朝だけ遊ぶおもちゃを別の場所へ移す、着替えをリビング以外で行うなど、環境を変える方法もあります。
ただし、支度後に遊ぶ約束をした場合でも、出発まで時間がなければ遊べないことがあります。約束できない状況では、「終わったら遊べる」と確約せず、「まず支度を終わらせよう」と伝えましょう。
「自分でやる」と言って進まない場合は?
自分で着替えたいけれど、ボタンや靴下がうまくできず、時間がかかることがあります。
その場合は、全部を取り上げるのではなく、担当を分けてみましょう。
分担の例
「シャツは自分で着る?ボタンだけ手伝おうか?」
「片方の靴下は自分で、もう片方は一緒に履こう」
「ズボンに足を入れたら、最後は手伝うね」
「できるところまでやって、難しかったら教えてね」
子どもが自分で取り組む部分を残しながら、大人が難しい部分を補います。
ただし、出発直前で時間がない場合は、
「今日は時間がないから、ここは手伝うね」
と短く伝え、大人が手伝って構いません。
朝ごはんが進まないときは?
朝ごはんに時間がかかる場合は、食べ方だけでなく、起床時刻、量、メニュー、体調も確認します。
確認したいこと
- 起きてすぐで食欲が出ていない
- 普段の量が多い
- 食べにくい形や硬さがある
- テレビやおもちゃに注意が向いている
- 前日の夕食やおやつが遅かった
- 体調が悪い
無理に急いで食べさせると、喉に詰まらせる危険があります。歩きながら食べさせたり、口に多く詰め込んだりせず、安全を優先してください。
毎朝ほとんど食べられない、体重や体調が心配といった場合は、園やかかりつけの医療機関などに相談しましょう。
毎朝起きられない場合は睡眠も確認する
朝にぼんやりして支度が進まない場合は、睡眠時間や就寝時刻も確認してみましょう。
厚生労働省の情報サイトでは、米国睡眠医学会が推奨する3〜5歳の睡眠時間として、昼寝を含む1日10〜13時間が紹介されています。
ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。数字だけで判断せず、次の様子も確認してください。
- 朝なかなか起きられない
- 日中に強く眠そうにしている
- 休日と平日で起床時刻が大きく違う
- 就寝時刻が日によって大きく変わる
- 寝つきや夜中の目覚めが気になる
朝の工夫だけでは改善しない場合は、就寝前の過ごし方や一日の生活リズムも見直しましょう。
強いいびき、呼吸が止まるように見える、日中の眠気が強いなど、睡眠について心配がある場合は、かかりつけの小児科へ相談してください。
遅刻しそうな朝はどうする?
時間がない朝に、自立の練習を最後まで続ける必要はありません。
遅刻しそうな場合は、次のように優先順位を決めます。
- 食事や移動の安全を守る
- 必ず必要な支度を優先する
- 大人が手伝える部分は手伝う
- 省略できる作業は省略する
- 落ち着いてから翌日の準備を見直す
例えば、服のボタンを大人が留める、荷物は大人が持つなど、その日の状況に合わせて手伝います。
「自分でできないから大人がやる」と責めるのではなく、
「今日は時間がないから一緒にやるね」
と伝えましょう。
朝の忙しい時間に長く説教しても、さらに出発が遅くなります。振り返る場合は、帰宅後などお互いが落ち着いているときにします。
「早くして」と言ってはいけない?
「早くして」と一度も言ってはいけないわけではありません。
時間がない状況を伝える必要がある朝もあります。
ただし、「早くして」だけでは何をすればよいか分かりにくいため、具体的な行動も加えましょう。
言い換えの例
「早くして」
ではなく、
「家を出る時間が近いよ。今は靴下を履こう」
「急いで」
ではなく、
「今日は大人がボタンを手伝うね」
「何回言ったら分かるの」
ではなく、
「今するのは歯磨きだよ」
緊急性と、今してほしい行動を短く伝えます。
いろいろ試しても毎朝間に合わない場合は?
毎朝間に合わない場合は、子どもの動きだけでなく、朝全体の予定も確認します。
見直したいこと
- 朝にしている作業を前夜へ移せないか
- 起きる時刻を調整できないか
- 朝食の量や出し方が家庭に合っているか
- 着替えや持ち物を探す時間が発生していないか
- 子どもが一人でする項目が多すぎないか
- 出発時刻に余裕を持たせられないか
- 大人の準備と子どもの準備が重なりすぎていないか
「子どもをもっと速く動かす」だけでなく、「朝の工程を減らせないか」という視点も大切です。
家庭によって起床時刻、通園方法、仕事の時間が異なるため、全家庭に共通する適切な準備時間は決められません。実際の朝にどこで止まっているかを確認し、一番負担の大きい部分から見直しましょう。
よくある質問
朝の支度は3歳だけで全部できるものですか?
すべてを一人で行う必要はありません。
本人ができる部分を任せ、ボタン、歯磨きの仕上げ、荷物の確認など、難しい部分は大人が手伝いましょう。
お支度ボードを使えば速くなりますか?
次にすることが分かりやすくなる可能性はありますが、必ず速くなるとは限りません。
項目が多すぎると確認が負担になるため、止まりやすい行動を中心に少ない項目から試しましょう。
タイマーを使ってもよいですか?
タイマーを「終わりや次の行動を知らせる合図」として使う方法はあります。
ただし、音を怖がる子や、急かされているように感じる子もいます。嫌がる場合は使用せず、「この着替えが終わったら朝ごはん」など、行動で区切りましょう。
朝に動画を見せてもよいですか?
家庭のルールによりますが、動画に集中して支度が止まる場合は、支度が終わるまでつけない方法があります。
動画を見ながらでなければ食事や着替えが進まない状態になっている場合は、急にすべてを禁止するのではなく、見るタイミングや場所を少しずつ見直しましょう。
毎朝怒ってしまいます
時間に追われる朝に、怒らないことだけを目標にするのは難しい場合があります。
前夜の準備、支度の項目、出発時刻を見直し、大人が判断する回数を減らす方法も考えてみましょう。
怒ってしまった場合は、落ち着いてから、
「大きな声を出してごめんね。明日は服を先に用意してみよう」
と伝え直せます。
今日から始めるならこの3つ
すべてを一度に変える必要はありません。
まずは次の三つから試してみましょう。
1.服と荷物を前夜に用意する
朝に探したり選んだりする作業を減らします。
2.一度に一つだけ伝える
「準備して」ではなく、
「まず靴下を履こう」
と具体的に伝えます。
3.基本の順番を決める
「着替えたら朝ごはん」など、家庭で続けやすい流れを決めます。
それでも進まない場合は、睡眠、朝食、収納場所、おもちゃの位置なども確認してみましょう。
まとめ|3歳の朝の支度は速さより分かりやすい仕組みを作ろう
3歳の朝の支度が遅いときに試したい工夫は、次の7つです。
- 朝にすることの順番を決める
- 一度に一つだけ伝える
- 前日の夜に準備する
- 二つから選んでもらう
- 必要な物を取りやすい場所へ置く
- 絵や写真のお支度ボードを使う
- できた行動を具体的に伝える
毎朝すべてを一人でできることを目指す必要はありません。
子どもができる部分は任せ、時間がない日や難しい部分は大人が手伝いましょう。
朝の支度を速くすることだけでなく、
「朝にすることを減らす」
「次にすることを見えるようにする」
「探さなくても物が見つかるようにする」
という仕組みも重要です。
着替えそのものを嫌がる場合は、3歳が着替えを嫌がるときの工夫も参考にしてください。
朝におもちゃを片付けられず困る場合は、3歳がおもちゃを片付けないときの対応で詳しく紹介しています。
参考資料
この記事は、以下の公的資料を参考に作成しています。
文部科学省の幼稚園教育要領解説では、幼児がその日に必要なことを理解できるよう、視覚的に提示する工夫が示されています。
また、厚生労働省の「こどもの睡眠」では、米国睡眠医学会が推奨する3〜5歳の睡眠時間として、昼寝を含む1日10〜13時間が紹介されています。ただし、必要な睡眠時間には個人差があるため、時間だけでなく、朝の目覚めや日中の様子も確認することが大切です。

