3歳の子どもが、怒ったときにおもちゃを投げる。何度注意しても、また同じことをする。
「どうして分かってくれないの?」と、困ってしまうこともありますよね。
3歳は自分の気持ちを言葉で伝え始める時期ですが、悔しさや怒りが強くなると、うまく言葉にできず行動に出ることがあります。また、投げたときの音や動きを楽しんでいる場合もあります。
大切なのは、投げた瞬間に長く叱ることではありません。
まず周囲の安全を確保し、「投げると危ない」と短く伝えます。落ち着いてから理由を確かめ、投げる以外の方法を一緒に練習していきましょう。
※物を投げる理由や効果的な対応には個人差があります。この記事だけで発達上の問題を判断することはできません。
3歳が物を投げた直後にすること
物を投げた直後は、次の順番で対応します。
- 人や割れ物から子どもを離す
- 投げた物や危険な物をいったん預かる
- 短い言葉でルールを伝える
声かけは、次のような短いもので十分です。
「投げると危ないよ。これは預かるね」
「怒っているね。でも、人には投げないよ」
興奮している最中に長く説明しても、内容が伝わりにくいことがあります。安全を確保したら、まず落ち着くのを待ちましょう。
誰かに物が当たった場合は、投げた子を問い詰める前に、けがをした人の確認を優先します。
3歳が物を投げる主な理由
同じ「投げる」でも、子どもによって理由は異なります。
| 投げる前の様子 | 考えられる理由 | 対応の方向 |
|---|---|---|
| 思いどおりにならず怒っている | 悔しさや怒りを表せない | 気持ちを言葉にする |
| おもちゃがうまく使えない | 困っている、助けてほしい | 助けを求める言葉を教える |
| 大人の顔を見ながら投げる | 反応を確かめている | 大きく反応せずルールを伝える |
| 何度も楽しそうに投げる | 音、落ち方、動きが面白い | 安全に投げられる遊びへ変える |
| 眠いときや空腹時に増える | 疲れや生活リズムの影響 | 休憩や生活環境を見直す |
| きょうだいとの取り合いで投げる | 気持ちのぶつかり合い | 順番や言葉での伝え方を助ける |
一度の行動だけで理由を決めつけず、「何をしているときか」「投げる直前に何があったか」を見てみましょう。
怒って物を投げるときの7つの対応
1.危険な物をすぐに遠ざける
硬いおもちゃ、食器、リモコンなどは、人に当たるとけがにつながります。
投げ始めたら手の届かない場所へ移し、「危ないから預かるね」と伝えましょう。
罰として没収するのではなく、安全のために一時的に離すという姿勢が大切です。
2.ルールは短く具体的に伝える
「いい加減にして」「どうしてそんなことをするの」では、子どもが何をやめればよいのか分からないことがあります。
「おもちゃは投げないよ」
「人に向けて投げないよ」
このように、やめてほしい行動を具体的に伝えます。家族で言い方をそろえると、ルールが伝わりやすくなります。
3.気持ちと行動を分けて受け止める
怒った気持ちまで否定する必要はありません。
「使いたかったんだね」
「うまくできなくて悔しかったね」
と気持ちを受け止めたうえで、「でも、投げると危ないよ」と行動のルールを伝えます。
こども家庭庁の『保育所保育指針解説』でも、子どもは他の子どもとの関わりや気持ちのぶつかり合いを通して、少しずつ自分の気持ちを調整していくことが示されています。
4.投げる代わりの言葉を教える
落ち着いたあとに、短い言葉を一緒に練習します。
- 「いや」
- 「貸して」
- 「手伝って」
- 「できない」
- 「まだ使いたい」
次に同じ状況になったとき、大人が「『手伝って』って言おうか」と言葉を補うと、少しずつ行動以外の伝え方を覚えられます。
5.安全に投げられる遊びを用意する
投げる動作そのものを楽しんでいる場合は、すべてを禁止するより、投げてよい物と場所を決める方法があります。
例えば、柔らかいボールや丸めた新聞紙を箱へ投げる遊びです。
「このボールは箱に投げていいよ」「おもちゃは投げないよ」と区別して伝えます。
遊び方は「3歳のボール遊び12選」でも紹介しています。
6.投げる前のきっかけを減らす
物を投げた場面を簡単に振り返ると、共通点が見つかることがあります。
- 食事前に増える
- 眠い時間に増える
- 遊びを急に中断すると投げる
- おもちゃを片付けるときに投げる
- きょうだいとの取り合いで増える
空腹や疲れが関係していそうなら、早めに休憩を入れます。遊びの終了時に増えるなら、「あと1回でおしまい」と事前に知らせてみましょう。
片付けの場面で困っている場合は、「3歳がおもちゃを片付けないときの対応」も参考にしてください。
7.できた瞬間を具体的に認める
投げなかったことや、言葉で伝えられたことにも注目します。
「投げずに渡せたね」
「『手伝って』って言えたね」
「床に置けたね」
問題が起きたときだけ反応するのではなく、望ましい行動ができた瞬間に伝えることがポイントです。
場面別の声かけ例
怒っておもちゃを投げたとき
「怒っているね。でも、おもちゃは投げないよ。これは預かるね」
落ち着いたら、「何が嫌だった?」と理由を聞きます。答えられない場合は、「できなくて悔しかった?」など、考えられる気持ちを短く示します。
おもちゃがうまく動かず投げたとき
「できなくて困ったね。投げる前に『手伝って』って教えてね」
そのあと、必要な部分だけ一緒にやります。
大人の顔を見ながら投げたとき
「投げないよ」と静かに伝え、危険な物を預かります。
大声や大げさな反応が目的になっていそうなときは、反応を必要以上に大きくせず、投げずに遊べている場面で声をかけましょう。
きょうだいに向けて投げたとき
まず二人を離し、けががないか確認します。
落ち着いてから、「使いたかったね。でも、人には投げないよ。『貸して』と言おう」と伝えます。興奮中に無理に謝らせるより、落ち着いてから相手の様子を一緒に確認します。
避けたい対応
次の対応は、恐怖や興奮を強めたり、何をすればよいか伝わりにくくなったりする可能性があります。
- 大声で長時間叱る
- 投げ返して痛みを分からせる
- 「悪い子」と人格を否定する
- 興奮中に無理やり謝らせる
- 投げるたびに家族の対応が変わる
- 危険でない投げる遊びまで、すべて禁止する
保護者もイライラが強くなったときは、安全を確保したうえで少し離れたり、ほかの大人に交代したりして構いません。
専門家へ相談したほうがよい目安
物を投げることだけで、発達障害などを判断することはできません。
ただし、次のような場合は、家庭だけで抱え込まず相談してみましょう。
- 人にけがをさせるほど強く投げる
- 危険な物を繰り返し投げる
- 家庭でも園でも頻繁に起きる
- 言葉やコミュニケーションについても心配がある
- 対応を続けても生活への影響が大きい
- 保護者が疲れ切っている
相談先は、保育園・幼稚園、かかりつけの小児科、市区町村の保健センター、子育て支援窓口などです。
厚生労働省も、子どもの行動や心の問題について受診すべきか迷う場合は、地域の保健所や保健センターなどの公的な相談窓口を利用できると案内しています。
よくある質問
物を投げるたびに叱るべきですか?
危険な行動は、その都度止める必要があります。ただし、毎回強く叱るのではなく、「投げないよ」「危ないから預かるね」と短く一貫して伝えるのが基本です。
何度言っても投げるのは、親の話を聞いていないからですか?
必ずしもそうとは限りません。ルールを理解していても、怒りや悔しさが強いと行動を止められないことがあります。落ち着いたときに代わりの言葉や行動を繰り返し練習していきましょう。
投げる遊びも禁止したほうがよいですか?
安全な物を決められた場所へ投げる遊びまで禁止する必要はありません。「柔らかいボールは箱へ投げてよい」「硬いおもちゃは投げない」と区別して教えましょう。
まとめ
3歳が物を投げたときは、まず人や危険な物から離し、安全を確保します。
そのうえで、「投げると危ない」と短く伝え、落ち着いてから理由を確認しましょう。
対応のポイントは次の3つです。
- 投げた直後は安全確保を優先する
- 気持ちは受け止めても、危険な行動は止める
- 投げる代わりの言葉や行動を繰り返し教える
すぐに変わらなくても、短く一貫した対応を続けることが大切です。けがにつながる行動が続く場合や、保護者の負担が大きい場合は、園や地域の相談窓口、かかりつけ医に相談してください。

